みむろ杉 木桶菩提酛

酒の神の鎮まる三輪、
そして今西酒造

奈良県三輪
奈良県三輪は「酒の神が鎮まる地」とされています。 その由縁は酒の神として信仰される、日本最古の神社「大神(おおみわ)神社」が鎮座し、全世界の醸造家を見守っていることにあります。酒蔵の象徴とされる「杉玉」は新酒に合わせて、ここ大神神社で作られ、全国の酒蔵に届けられています。
奈良県三輪
当蔵は1660年にこの地で酒造りをはじめ、今でも残る唯一の酒蔵です。世界でも類まれな酒の聖地で酒造りをさせて頂けていることに誇りと喜びを感じ、三輪を表現する日本酒として「みむろ杉 木桶菩提酛」を世に送り出します。

清酒のはじまりは、奈良県

清酒のはじまりは、奈良県
奈良県は「清酒発祥の地」とされています。その由縁は現代の酒造りの基礎となっている「酒母」の概念が奈良県にて確立されたことにあります。 その「酒母」こそが、「菩提酛(ぼだいもと)」です。 菩提酛とは室町時代中期に奈良県は正暦寺で創醸され、現在普及している速醸酛や生酛系酒母の原型とされています。
清酒のはじまりは、奈良県
現存する日本最初の民間の酒造技術書「御酒之日記」によると乳酸発酵酸性液である「そやし水」を製造し、この水を酛の仕込み水として利用することが特徴、と記されています。そやし水は、水に生米を浸漬し、自然界に生育する乳酸菌の力を活用し、乳酸発酵を促すことで製造されます。 酛仕込みにその乳酸水(そやし水)を使用することで、一般細菌の増殖を抑え、酵母の増殖を促し、アルコール発酵を行うという実に巧妙で合理的な醸造手法です。

地元米のみを使用し、社会問題の解決にも。

奈良県三輪
農家の高齢化・労働力不足が原因となり、耕作放棄地の増加が社会問題となっています。 酒造りを通じて、地元と共に共存共栄を図り、社会問題を解決する一助となりたい。日本の原風景を守り、次世代につなげていきたい。
奈良県三輪
そのような想いから当蔵では自社田での米作りや、契約農家との米作りを積極的に推進しています。 「みむろ杉 木桶菩提酛」に使用する酒米は奈良県産の自社田・契約栽培米のみを使用。
奈良県三輪
米の力は土地と人とで決まります。 土壌と農家の個性を理解し、米の潜在能力を最大限に引き出すため、精米歩合はそのときによって千差万別。そのため「みむろ杉 木桶菩提酛」は精米歩合を公開していません。

すべてを吉野杉の木桶で醸す

奈良県三輪
当蔵は三輪山を覆う杉のおかげで清らかな水・米を頂き、360有余年酒造りを続けることが出来ています。杉への感謝と敬意の気持ちを表し、全量吉野杉産木桶で醸しています。 吉野杉を使用する理由は、杉材として最高品質であることに加え、三輪と深い関係があるからです。
奈良県三輪
明治時代に発行された技術書「吉野林業全書」によれば、吉野杉は1500年代に三輪山の杉が移植され育てられてきた、と記されています。 江戸期以降は伊丹・灘五郷など上方酒造業の発展に伴い、吉野杉は木桶・樽用の酒造用材として隆盛を極めました。
奈良県三輪
吉野杉が重宝される理由は、木自体の香りが良いことに加え、幹の年輪幅が狭く、節がないため、木桶にして酒をつめても漏れにくいからです。これは密植と間伐を繰り返し長い時間をかけて1本の木を育てる、林業家のなせる技です。 杉への感謝、吉野林業家達への敬意をこめて、木桶菩提酛を醸します。

味わい

奈良県三輪
当蔵の醸造哲学は「清く、正しい、酒造り」 追求されつくした透明でなめらかな飲み口に加え、そやし水由来の力強さと厚みのある味わい、そして木桶に棲みつく微生物が生み出す複雑味と香り、一見相反する要素が酒の神が宿る三輪の仕込み水のちからで、絶妙な調和を醸します。
奈良県三輪
すべての工程を機械化せず、自然をそのまま活かす醸造手法のため、「みむろ杉 木桶菩提酛」にはその年の自然、さらに木桶ごとに異なる個性があります。 ぜひ、一期一会の酒をお楽しみ下さい。

エチケット

奈良県三輪
テーマは「神仏習合」。 古くは神仏習合の形をとっていた大神神社、三輪信仰のイメージをお借りしました。形状は青蓮華の葉。蓮の葉の一種で仏教のシンボルとして尊ばれている植物です。
奈良県三輪
中のデザインには大神神社と深い関係がある白蛇と兎、そして御神花のササユリがあしらわれています。 裏エチケットのシダーマークは「みむろ杉 木桶菩提酛」の熟成の度合いによって、色と本数が変化します。

「みむろ杉 木桶菩提酛」に
込めた想い

古来、酒は自然からの恵みの象徴であり、神と交信するための手段であった。 そこに工業的な考え方は存在せず、酒とは祈りの象徴。 その時に人々が嗜んでいた酒は「どぶろく」。 時は流れ、室町時代中期(1400年代)の日本。 奈良県正暦寺の僧侶は経験と知恵を持って、自然のものだけで腐敗リスクを極限まで落とした酛造りを創醸した。 それが、超自然派の「菩提酛造り」。 それは現代の酒造り手法の原型となり、その後、奈良県の僧侶は「三段仕込み」「諸白造り」「火入れ」「上槽」を次々と生み出し、日本酒の歴史を変えた。 自然界に生育するものだけで生み出された「清酒」は人々を魅了し、 当時の酒は空気を吸い込むかのごとく、身近な存在であったに違いない。 ありとあらゆるモノ・コトが効率化・工業化し、混沌としている時代。 奈良県に脈々と受け継がれる自然・文化・歴史に敬意を払い、酒の神が鎮まる奈良県三輪の地で現代の技術力をもって菩提酛造りを復興し、酒文化をつなぎ、伝統を守って参ります。 本物の自然の恵みをお楽しみ下さい。
十四代目蔵主
今西将之

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